日本と西洋「生活空間の違い」

日本人の感覚には浮世絵の役者絵を額に入れて壁に掛けるといった発想は想い描けないかもしれません。

浮世絵などの日本画がもし私自身の手に入ったとしたら、飾るというよりは大切に桐箱などに入れて押し入れにしまい込んでしまうかもしれません。

絵画などのアート作品を生活空間の中で楽しむという考えに日本人はどうも疎いような感覚を抱いております。

家族写真などもアルバムなどに入れ込んで、押し入れや納屋などに大事にしまい込むというような習慣が日本人の習性であるように感じております。

最近の若い方などは、デジタル媒体などに写真データを保管しているようですが、西洋人のように写真を額に入れて部屋に飾るという感覚はまだまだ日本人の生活空間の中には溶け込んでいないのでしょうか。

私のような年代でありますと家族写真イコール仏壇というイメージを持ってしまうので、自室に額縁を飾ることや壁を家族写真で埋めるという発想はどうしても思いつかないのです。

こんな事柄を徒然に述べているのも実は先日、友人から額縁をプレゼントしてもらったのですが、どのように飾り付けしてよいものか悩みながら考える日々であります。

西洋式の生活を吸収する

日本人のインテリアセンスには、シンプル・イズ・ザ・ベスト的な感覚があるのかもしれません。

週末に洋画などを一人自宅で楽しんでいると海外の人々の生活空間の彩り豊かな感覚に驚かされます。

ニューヨークやパリなどに暮らす若きカップルが登場するラブコメなどには、登場人物自身が自宅を思い思いにリフォームする姿を見かけることが多く感じています。

日本では賃貸アパートやマンションの壁を住人の思い通りの色に塗り直すような自体は、ほとんどの大家さんが許可しないとは思われますが、もしそのような事柄が社会一般でまかり通るのであれば、皆さんは何色に壁を彩りますか?これだけ西洋式の文化を吸収しまくった日本人にとって生活空間としての住居内は、自分自身でデコレーションするための場所であるという感覚がいまだに薄いように感じています。

戦後、西洋文化にどっぷりと染まりつつある日本で、住居空間も大きく様変わりし続けてきました。

生活様式の変化

住居環境だけではなく、生活様式そのもの、衣服、食文化、男女の関係性や社会基盤なども含め、あらゆる事柄に西洋文化の影響をみつけることができるはずでえす。

生活空間においては、これまでの障子や襖などの和室が姿を消しつつあるなかでカーテンやブラインドウ、ロールカーテンなどの西洋式のインテリアアイテムが目白押しで大型の家具ショップに陳列されております。

床は畳からフローリング、トイレは和式から洋式に、日本人の生活様式は、完全に西洋式に移行していますが、壁を自分自身で塗ったりリフォームする感覚は日本人にはまだまだ希薄であるようです。洋画などでは自分の好きな色に壁を塗り替え、ファミリー、恋人、ペットなど自分の大切にしている存在の写真でリフォームした壁をめいいっぱいに埋め尽くすような光景を目にすることができます。